「荒らす忌むべきもの」について マイク・ビクル 2014年8月5日
「荒らす忌むべきもの」について
マイク・ビクル (カンサスIHOP国際祈りの家 ディレクター)
「荒らす忌むべきもの」或いは「荒らす憎むべきもの」(the abomination of desolation)は奇異な言葉ですが、ダニエル書には4回出てきますし、イエスもマタイとマルコで1回ずつ言われています。端的に言えば、これは真の神への礼拝に対抗する偽りのものです。ここカンサスIHOPだけではなく、世界中にワーシップと祈りの家が今立ち上がっています。さまざまな形式、スタイルがありますが、それら世界中の祈りの家は、この「荒らす忌むべきもの」即ち反キリスト崇拝に対抗して最前線で戦うものとなるのです。「荒らす忌むべきもの」の出現は大艱難が始る主たるサインとなりますから、これに関する知識を持つことは大変重要です。
まずイエスの言葉を見てみましょう。マタイ24:15に「それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読みとるように。)..」とあります。ということは、私たちはその前に携挙されるのではなく、地上にいてそれを見るということです。それは一つの像(偶像)で、反キリストの姿をしています。 エルサレムの神殿の中にそれを見るならば、そこは反キリストに対する礼拝、即ち世界中で行われうる反キリスト崇拝の中心となることをあなたは知るのです。この像は超自然的で悪魔的な要素を持ち、ものすごい影響力があり、多くの人々を反キリスト崇拝へと巻き込むのです。
イエスは「それを見たならば、あなたは逃げなさい、町から出なさい。」とユダヤ地方にいる人々に言っておられます。イエスは基本的に信者に対して警告しています。世界中で艱難が起りますが、特にエルサレム近辺、そしてその回りのユダヤ地方では最も激しい戦いが起るのです。これは象徴的な話ではなく、本当に生死にかかわることであるので、イエスは「すぐに逃げなさい」と言っています。「屋上にいても仕事場にいても、家のなかに物を取りにいかないで、すぐに逃げなさい。」と言っておられるのです。3年半の大艱難がその時から始るのです。
更に「荒らす忌むべきもの」は一つのことではなく、一連の出来事です。神の目には「忌むべき、憎むべき」邪悪なことが起ります。その結果、世界は荒れ果てて荒廃(desolation)します。「忌むべき一連の出来事(主なものは4つ)が起り、それにより世界が破壊され荒廃する」ということです。その中心的出来事はエルサレムの神殿に偶像が立てられることです。これが起こるときに私たちは地上にいるのです。それはクリスチャンにとっては最高にすばらしい時となり、祈りのムーブメントは最高にパワフルとなります。なぜならばそれは悪魔的ワーシップ・ムーブメントと最前線で戦う働きをするからです。反キリストは真に主を礼拝するムーブメントに対して大いに怒りを燃やし、それをやっつけようとするのです。
パウロは第二テサロニケ2章3−4で非常に重要なことを言っています。彼は「荒らす忌むべきもの」という言葉こそ使っておりませんが、それに関しての重要なキイとなる出来事について語っています。「なぜなら、まず背教が起り、不法の人、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日は来ないからです。彼はすべての神と呼ばれるもの、また礼拝されるものに反抗し、その上に自分を高く上げ、神の宮の中に座を設け、自分こそ神であると宣言します。」とあります。
不法の人、滅びの子とは反キリストのことです。即ち反キリストが現れなければ主の日(再臨の日)は来ないと言っているのです。反キリストは、真の宗教のみならず、他の多くの偽りの宗教をも禁止し、すべての人が彼だけを礼拝することを要求するのです。そして彼はエルサレムの神殿に座し、自分が神であると世界に向けて宣言します。これは「荒らす忌むべきもの」の重要なポイントです。この箇所からも分かるように、エルサレムの神殿は建て直されねばなりません。現在ユダヤ人は神殿の丘に新たに神殿を建てる綿密な計画を立てています。それが実現すれば、それは政治的にも宗教的にも大きなしるしとなるのです。
「荒らす忌むべきもの」の4つの主な出来事
1.反キリストが神殿の座について自分が神であると宣言する。(第二テサロニケ2:4 )ある者たちは「これはすばらしいことだ!」と言うが、神はそれを見て大いに怒られ「それは邪悪なことである、忌むべきことである」と言われる。
2.偽預言者が反キリストの偶像をエルサレムの神殿の中に立てるように言う。(黙示録13:14;マタイ24:15)その像は悪魔的な力を持ち、自分で息をして自分の意志で話すことができると科学者たちからも認められ、多くの者がそれを信じる。超自然的な力で生きているように見える。(黙示録13:15) 即ち、反キリストが神殿に座し、その像が神殿の中に据えられる。
3.偽預言者は諸国のリーダーたちに反キリストの像を造るように命ずる。世界中のいたる所にその像が立てられ、そこが反キリスト崇拝のセンタ−となると思われる。 それらの像は最先端の技術をもって造られ、まるで生きているかのように見えるのであろう。最先端技術とサタンが協力して作りあげる像となるであろう。
4.偽預言者が全世界の人々に反キリストを神として礼拝するように強制する。黙示録13:12、15「この獣は、最初の獣が持っているすべての権威をその獣の前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷の直った最初の獣を拝ませた。..また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。」
偽預言者はすべての人が反キリストを礼拝しなければ罰せられるという法律を作るのです。何百万、何千万、何億という人たちがそれに賛同し、競技場を埋め尽くすような集会をするでしょう。黙示録13:8に「地に住む者で、ほふられた子羊のいのちの書に、世の初めからその名の書きしるされていない者はみな、彼を拝むようになる。」とありますが、全世界のすべての国々で反キリストを礼拝する者たちが起るのです。法律によって反キリストを拝まない者を殺すことが許可されます。そのような法律は神にとって「忌むべきもの」です。ナチスの時代、法律によりユダヤ人を迫害することは合法となり、ユダヤ人を告発すると報償を受けました。それと同じように、反キリストを礼拝するようにという命令が出され,それに従わない義人は犯罪人となり、義人を告発するものには報償が与えられるような極めて忌まわしい法律がつくられます。
以上4つのことが「荒らす忌むべきもの」です。このようなことは人類の歴史を通してかつてありませんでした。これは全世界を網羅することだからです。そのような悪に対して勝つ方法は一つ―それはイエスです。別の言い方をすると、人々がイエスとつながって、イエスから力を受ける器になることです。イエスは人々を用いてその力を世界に顕されるのです。イエスはすでに力を持っておられますが、人々がそのイエスとつながってこの世で生き、イエスの力を発揮していくのです。それが今必要とされています。それが緊急の任務であることを私は感じています。
私たちは国際祈りの家を始めましたが、まだまだ祈りの初心者であり、聖霊の流れに飛び込む初心者です。聖霊は「その調子、いいぞ、がんばれ、もっともっと主の力をあらわせるようにがんばれ!新しい領域へと進め!」と言ってくださっています。世界中の祈りのムーブメントに向かって聖霊はそのように励まされているのです。
すばらしいことに、イエス・キリストを礼拝する真の祈りとワーシップの家が世界中に打ち立てられています。ある人たちは「私はワーシップソングがとても好き」とか「みんなで集まってワーシップすると楽しくて、臨在があってすばらしい」とか言うかもしれません。 祈りのムーブメントが起こってから今までの10年は音楽を中心として 広がっていきましたが、これからは音楽ではなくイエスと聖霊を中心とする祈りのムーブメントに変えていく必要があります。音楽ではサタン礼拝のムーブメントを克服することはできないからです。ただ「クールな音楽」では駄目なのです。サタン礼拝に打勝つ地上で唯一の力は、「真に預言的な油注がれたワーシップの中で、神の臨在から神の力が流れ出ることだけ」だからです。
真に聖霊の力のある祈りと賛美を日夜続けることだけが、サタンを打ち倒すことができるのです。私たちがカンサスIHOPでしているようなスタイルである必要はありません。連鎖祈祷など様々な方法ですることができます。敵は物を言う反キリストの像を中心にサタンに礼拝を捧げます。私たちはそれと戦うのですからすさまじい霊的戦いとなります。しかし私たちには生きた真の御霊がおられます。
世界的な荒廃(desolation)
今まで「忌むべきもの」について話してきましたが、次にその結果として起こる世界的な 荒廃について見てみましょう。それを起こすものに二つあります。
一つはイエスです。そしてニつ目は反キリストです。
忌むべき出来事が起こった故に、この両者が三年半の間、世界に破壊、荒廃をもたらし、地上の多くの者の命が失われます。
マタイ24:22「もし、その日数が少なくされなかったら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくされます。」
イザヤ24:1「見よ。主は地を荒れすたらせ。その面をくつがえされて、その住民を散らされる。Behold, the Lord makes the earth empty and makes it waste, distorts its surface and scatters abroad its inhabitants.」
イザヤ24:6「それゆえ、地の住民は減り、わずかな者が残される。Therefore the inhabitants of the earth are burned, and few men are left.」
わずかな者とはどの位でしょうか。それはわかりませんが、いずれにせよ僅かなパーセントです。主ご自身が地をからっぽにされるというのです。これは大艱難の時のことです。
イザヤ13:9「見よ。主の日が来る。残酷な日だ。憤りと燃える怒りをもって、地を荒れすたらせ。罪人たちをそこから根絶やしにする。」
イザヤ13:11、12「わたしは、その悪のために世を罰し、その罪のために悪者を罰する。不遜な者の誇りをやめさせ、横暴な者の高ぶりを低くする。わたしは、人間を純金よりもまれにし、人をオファルの金よりも少なくする。」
1.イエスがもたらす荒廃
イエスは反キリスト礼拝に対して裁きを下し、荒廃をもたらします。黙示録に書かれていることは、「荒らす忌むべきもの」に対するイエスの裁きです。真にイエスを礼拝するムーブメントに反抗する者に対するイエスの裁きです。イエスは「荒らす忌むべきもの」について語った次に、マタイ24:22で「もし、その日数が少なくされなかったなら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくなります。」と言われています。
これは三年半のことを言っています。世界では大きな苦難がありますが、それと同時に教会が最も輝く時です。しるしや不思議、奇跡、超自然的な食糧や物資の調達、天使の現れが顕著になります。殉教者たちは栄光の中に迎えられます。私がもし殉教して命から死への一線を越えるならば、その途端、イエスが「マイク!」と言って御手に抱いてくださるのです。もし殉教しなければ空中で「マイク!」と迎えてくださいます。すばらしいですね! どちらであっても私たちは勝利するのです。
黙示録6:8「..彼らに地上の四分の一を剣とききんと死病と地上の獣によって殺す権威が与えられた。」
黙示録6:12「私は見た。子羊が第六の封印を解いたとき、大きな地震が起こった。そして、太陽は毛の荒布のように黒くなり、月の全面が血のようになった。」封印を解くのはイエスです。
黙示録9:15「..人類の三分の一を殺すために解き放された。」第六の御使いがラッパを吹き鳴らし、四人の御使いが人類の三分の一を殺すために解き放たれます。これは実際に起こることなのです。しかし、イエスが災いを起すときは、忌むべきものに対する裁きです。
イザヤ66:16「実に、主は火をもってさばき、その剣ですべての肉なる者をさばく。主に刺し殺される者は多い。」
エレミヤ25:33「その日、主に殺される者が地の果てから地の果てまでに及び、彼らはいたみ悲しまれることなく、集められることなく、葬られることもなく、地面の肥やしとなる。」
私はこのことを決して喜ばしいとは思いませんが、これは主がされることです。教会は聖められ、祈りのムーブメントが 目に見える形で主の偉大な栄光を顕すようになります。これはゲームではありません。永遠の生死にかかわることです。極めて重大なことであるので、神は今私たちに予めそのために祈るようにされているのです。
今の私たちには100%は理解できないことかもしれません。20年か30年経ってから、私たちが祈りのムーブメントに入れてもらったことがどれほど大きな主の恵みであり御計らいであったかを悟ることになるでしょう。世界のどこにいるとしても、祈ることを訓練され、整えられることは本当に鍵となるのです。終末の大きな戦いの最前線で戦うのは祈りのムーブメントだからです。そしてそれは同時にすばらしく麗しいことなのです。
2.反キリストがもたらす荒廃
これは反キリストが自分に抵抗する者に対して起すものです。彼は前代未聞の政治的、軍事的、経済的力を駆使して、自分を礼拝することを拒絶する人たちを滅ぼそうとします。第二テサロニケ2:3「だれにも、どのようにも、だまされないようにしなさい。なぜなら、まず背教が起こり、不法の人、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日は来ないからです。Let no one deceive you by any means; for that Day will not come unless the falling away comes first, and the man of sin is revealed, the son of perdition.」
「滅びの子 son of perdition(破滅、滅亡、地獄)」と呼ばれる反キリストは、自分に抵抗する者に対して怒りをぶちまけることによって目に見える世界を破壊し、 人々を惑わして自分を礼拝させ、彼らを霊的に破滅させて地獄に送り、最後には自分もそこに行くのです。反キリストが滅びの子と呼ばれる理由です。
反キリストの像と獣のマーク(刻印)
反キリストの像については黙示録に10回出てきます。(黙示録13:14、15<3回>;14:9、11;15:2;16;2;19:20;20:4)黙示録に一回でも出てくるならば、それは終末において重大なことであると言えますが、獣のイメージに関しては10回も書かれているのです。強制的に行われる反キリスト崇拝に対して、真の礼拝者たちが戦い、それによって彼らが霊的に鍛えられることを神は意図されたのです。真の礼拝者たちは敵と戦うことによって目的を定め、聖められ、整えられ、完全に御霊によって生きる者とされます。
「荒らす忌むべきもの」は多くの奇跡を起こすことが書かれています。
第二テサロニケ2:9「不法の人の到来は、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力、しるし、不思議がそれに伴い、」
マタイ24:24「にせキリスト、にせ預言者たちが現れて、できれば選民をも惑わそうとして、大きなしるしや不思議なことをして見せます。」
選民も惑わされるのです。しかし、私たちが互いに交わり、主を礼拝し祈り続けるならば、惑わされる必要はありません。
黙示録16、17「また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。」
「獣の刻印」は、世界中の人々がこれを受けないと経済的な制裁を受けるということです。経済的な反キリストの体制を立て上げるキイとなります。獣の刻印を受けた者は経済的に豊になります。しかし、受けない者はキリストによって超自然的に養われます。主はパンを増やし、岩から水を出されるのです。私たちは反キリストの経済体制に頼る必要はありません。主が主の民の面倒をみてくださいます。
反キリストは悪魔的力とテクノロジーを合わせて獣の像を作り、その像はまるで生きているかのように話をします。その語る言葉を人々は神からの宣託として受けとります。そして像の語ることばが世界で直ちに法律となり、人々はそれを神からの法律だと信じます。又、世界中に配置されている像は、人々に預言するようになるでしょう。真の預言のムーブメントに対抗する偽りのものです。
マタイ4:8−9「今度は悪魔は、イエスを非常に高い山に連れて行き、この世のすべて国々とその栄華を見せて、言った。『もしひれ伏して私を拝むなら、これを全部あなたに差し上げましょう。』」
サタンが全世界に対して要求することは、ここでイエスに要求したことと同じです。又、反キリストはネブカデネザル王と同じように自分の像を拝むことを人々に強制するのです。
ダニエル3:1−6「ネブカデネザル王は金の像を造った。その高さは60キュピト、その幅は6キュピトであった。..伝令官は大声で叫んだ。..『ひれ伏して、ネブカデネザル王が立てた金の像をひれ伏して拝まない者はだれでも、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。』」
「荒らす忌むべきもの」を理解する必要 ―
ダニエル9:23「..そのみことばを聞き分け、幻を悟れ。」
ダニエル9:25「それゆえ、知れ。悟れ。..」
マタイ24:15「それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば(読者はよく読み取るように)」
このように聖書は「荒らす忌むべきもの」に関する幻を悟り、心して理解するようにと私たちに勧めています。(終)