Archive for the ‘坂達也からの今月のメッセージ’ Category:
30 05月
(続)クリスチャンよ、アメリカを取り返せ
坂 達 也
先回の私のメッセージは、現実の世界で「神の御国のクリスチャンがどのように政治に参与すべか」という事に関わった問題を提起していますので、今回はその点を少し掘り下げてみたいと思います。尚、未だ先回のメッセージをお読みいただいていない方はぜひそれから先にお読みいただくことをお薦めします。
先ず言えることは、フランクリン・グラハム師もリック・ジョイナー師どちらも今はクリスチャンが積極的に国の政治に参加すべきであることを提唱していることです。しかし現実にグラハム師は保守派クリスチャン寄りの共和党を昨年脱党して政党には無所属であり、一方ジョイナー師は共和党に残って彼なりの政治活動を続けているという違いがあります。
クリスチャンが積極的に政治に参加する際の最大の問題は、この世の政治の世界とは、人間同士が犯す罪・過失の泥沼の中で「真実」と「うそ」をあばき合い、反対党とか違った意見を持つ人を公然と批判することが避けられない、いやむしろ、泥にまみれて「論争することが政治である」とさえ言えます。とすれば「さばいてはいけない」という聖書の教えだけを大前提としたいクリスチャンには全く不向きであるといえるかも知れません。
そのよい例として、私は昨日の朝ジョイナー師のフェイスブックで見たことをお分かちします。それは常々民主党のクリントン候補を厳しく批判する判事ジェニン Judge Jeanine Pirro の名で知られるフォックス・ニュースの解説者のライブビデオを師が一昨夜紹介したのです。このビデオはクリントン氏が過去どれほど嘘をついて来たかをあばいたもので、それを紹介したジョイナー師もその意見に(それが真実であることを)同意するからこそ紹介して載せたものであると当然受け取られます。その結果、このビデオに対して読者からあっという間に三百人以上の読者から反響があり、中にはこのビデオを紹介したジョイナー師自身のスタンスを「人をさばくもの」であるという理由で批判・誹謗する投書が載っていました。もっともその後に別な人がその誹謗した投書者に対して「そういうあなたもジョイナー師さばいているのではないか」という投書も載っておりました。
選挙というものは、立候補者のやって来たことと、言っていることが「嘘か真実か」を問うこと、それを判断材料として「人を選ぶ」のですから、ある意味では「人をさばく」ために行われると言えます。従ってその材料を正しく識別・判断してアドバイスすることは絶対に必要です。そして多くの場合、人を批判する意見を言わざるを得ないことはやむを得ません。特にジョイナー師の場合は、牧師として選挙毎に「誰に投票すべきか」の意見を直接の教会員だけでなく全米のクリスチャンから問われ、又「神の声が聞ける」預言者としての意見を聞いて来る人が世界中におりますので、師はフェイスブックを通じてそれに対応し始めたようです。
しかし、そんなフェイスブックなどクリスチャンは見るべきでない、あるいは答えるべきではないと多くの人は思うでしょう。しかし本当にそれが正しいのでしょうか。クリスチャンが政治に参加すべきであるなら、人々を正しい判断に導くように適切で正しい「善悪の判断」「神の知恵」と「霊的識別」を示して、むしろ積極的に国民を指導することが、御国の政治に参加することではないでしょうか。そういうことはしない、避ける、クリスチャンは聖書研究だけしていればよいと言うことになれば、主が厳しく批判したパリサイ人ー外側だけ聖い、頭だけの観念的クリスチャンになりかねないと私は思います。世捨て人になってはいけないのです。
そこで私は一つジョイナー師を弁護したいと思います。それは彼はどんなに候補者を批判しても、必ずその人のために祈らねばならないことを強調します。特に過去7年間のオバマ大統領の言動には非常に厳しいですし、同じようにクリントン候補にもそうです。しかし、それだけに「クリスチャンはこの二人のために祈らねばならない」ということを忘れずに言って来た方です。私はその点ジョイナー師はポジテイブな「批判者」であると信じます。
グラハム師は、トランプ氏に批判的でテッド・クルーズ氏を推しました。ジョイナー師はトランプ氏、クルーズ氏両方を推し、やがてトランプ氏が両党から非難と攻撃の的になると、トランプ氏のよさを挙げて彼をサポートし、彼だけが最終候補者として残る事態となったとき、クルーズ氏が副大統領になることを歓迎すると言いました。
そこで最後に申し上げます。私がアメリカに移住して以来、最も感激することの一つは、アメリカの大統領の就任式を見る時です。それは特に就任の宣誓で、片手をバイブルを手に置き、もう片方の手を挙げて宣誓する大統領が、天に誓う姿を見て感動しました。この習慣は今でも続いており、オバマ大統領でもそうしましたし、オバマ氏が選挙前に聖書を小脇に持って夫婦でクリスチャン教会に行く姿をメデヤに写真を撮らせたのも憶えております。しかしそのアメリカが今や、学校とか軍人がバイブルスタデイーをしたり、主の祈りを祈ることすら禁じられる国に成り下がったのです。国と国民のモラルが今や完全に荒廃していることに心から悲しみを憶えます。ついては、いつか日本にも立派なクリスチャンの首相が選出されることを心からお祈り致します。(終り)
27 05月
クリスチャンよ、アメリカを取り返せ
坂 達 也
フランクリン・グラハム師がこの4月27日にアメリカのクリスチャンに向けて一つの重大なメッセージを発表しました。そのメッセージは、彼自身がそうであるように誠に率直なメッセージです。それは「クリスチャンが今こそアメリカを取り戻せ。今こそ国の政治に積極的に参加する時が来た!」というものです。
彼は今 Decision America 2016 tour というツアーを組んで全米50州を行脚しております。すべての州で祈りのラリー集会を開き、アメリカのリーダーたちが聖書の信条によって生きることを訴えているのです。
彼は「我々は今アメリカの歴史で最も大きな危機に面している。それは南北戦争、一次、二次世界大戦以上の危機です。それは人間の内面モラルにおける戦いです。もしクリスチャンが今立ち上がらなければ、私たちは手遅れになり大敗に至ります。」と悲痛な訴えを叫んでいます。
彼は記者の質問に答えて「このツアーは我々の最初の予想『五百人も集まればよい』を超えて、今のところ最低で千五百人、最高で一万人が集まっています。ニューハンプシャー州の集会では、気温マイナス5度C、30マイル/時の寒風が吹きさらす場所で民衆が一時間以上も立ったまま真剣に私のメッセージを聞いてくれました。」と言っています。
「私は必ずしもトランプ候補を応援しているのではないが、彼の集会に集まる人は皆、今のアメリカに大きな不満と怒りを持って集まっている人たちであることが明らかです。党派を超えて民衆は立ち上がっているのです。ワシントンは完全に壊されている。政治家は選挙前は何とでも約束するが、選ばれたら何もしない。だから民衆は今回の選挙で怒りに燃え上がり、今回の選挙で何とかしなければ、アメリカの国はこれで終りを迎えると民衆は憂いてこのラリーに集まって来ているのです。彼らはアメリカに残された唯一の望みは神である、もはや神にしか望みはないと感じ始めています。私たちの集会では、集まった民衆皆でアメリカの罪への悔い改めと赦しを請い、私が招きをすると何百の人がキリストにのみ従うと誓い、救われています。そのような人たちに、これから政治に参加することを私は真剣に呼び掛けていて彼らは立ち上がっています。」
私は彼がこの声明文を発表する以前の三月頃でしたでしょうか、或る夜、たまたま彼が Fox News 社(共和党よりのクリスチャン保守派のテレビ局)を訪れ、ニュース・キャスターの一人に次のように語ったのを聞いていました。
「私は昨年共和党員を脱会しました。なぜなら、共和党は二年前に、長い間の念願であった上下両院で民主党を押さえて過半数に達したにもかかわらず、クリスチャン保守派が希望する法案を何一つ達成することが出来ない情けない党に成り下がったからです。勿論民主党はそれ以上に悪い。こうなったら、私はどの党にも所属せず、今こそ神に頼るしかない時が来たことを、国民の皆さんに訴えるために今夜訪ねて来ました。」と。
そこで皆さん、このグラハム師以外にも、同じ志で立ち上がったクリスチャンがいることをお知らせしたいと思います。それはリック・ジョイナー師です。
私は元来ツイッターとかフェイスブックをしないのですが、家内に勧められ最近リック・ジョイナー師個人のフェイスブックを見るようになりました。知らなかったのですが、彼のフェイスブックを見ている人は何千何万人といるそうです。本当に今の時代は電子情報の時代ですね。下手に本とか集会で話すよりも、僅か数行でもいい、軽便なフェイスブックとかツイッターに書くメッセージの方が遥かに大きく早く世界に伝達し大変な影響力を持つことを知って驚いております。
リック・ジョイナー師はほとんど毎日のように、しかも多いときは一日に数回もフェイスブックにメッセージを載せています。私が読み始めたのは彼がトランプ大統領候補を積極的にサポートしている記事が目立つようになってからです。
彼はご存知のようにモーニングスター・ミニストリーという大きなミニストリーを創立し、彼自身が主から豊かに油注がれた使徒であり、又預言者として世界でも有数な「主の御国をこの世にもたらすミニストリー」を築き上げました。彼の著書は数十冊に及び、ビデオ・ライブストリーム等のメデイヤ、DVDとかCD、電子雑誌は、世界中で何百何千万の読者・聴衆を持っていると言われます。ですから、単なる牧師ではなく、むしろ神の御国をこの世に打ち立てるための使徒であると言うべき人です。従って教会活動としてのミニストリー以外に、世界の政治、軍事、文化あらゆる面に関心を持ち、中でもアメリカの政治には昔から深く関わって Oak Initiative というミニストリーを持って政界、クリスチャン議員とか軍人に広く、深く係わり合いながら多大なクリスチャンの影響(御国思想)を与えて来た人です。
そのジョイナー師が本日のフェイスブックで次のように書いておりました。
「オバマ大統領は今回のG7の集まりに際して『トランプによって世界のリーダーたちは騒いでいる Rttled 』と言いました。彼はトランプ氏のことを『何を言い出すか、し出すか、全く予想がつかない』という悪い意味で言ったのですが、こと外交政策においてはそのことが最も大きなアドバンテージの一つであるのです。それはちょうど野球のピッチャーが『玉がどこに飛んで来るか皆目わからない』という定評をとる時、そのことが打者に与える影響がどんなにピッチャーにとって有利であるのかと似ています。レーガン大統領は人格者として安定したよい人でしたが、彼の『引き金を引くときは速い』という定評がソビエトとか当時の敵対国との交渉に際しては、より有利な取引の結果を、より速くもたらすことに貢献しました。
現在のアメリカの敵対国は一つとして現在のアメリカのリーダーに対して『ゆらぐ』ことはありません。なぜなら彼らはアメリカのリーダーたちに対し全く敬意を感じていない(畏れ、恐れていない)からです。アメリカの今のリーダーたちはロシヤのプーテインから全く畏れられていないばかりか、三級の国々北朝鮮とかイランからもそう(あなどられているの)です。その点気弱で、他国から敬意を持たれる替わりに、好かれることを望んだカーター大統領も同じでした。今のアメリカのリーダーたちは世界中から力のないナイーブなリーダーシップであると見下げられています。
レーガンは世界の国々を騒がせましたが、彼が正式に大統領職に就くと直ぐにアメリカ人の捕虜が釈放され、世界において小さくなっていたアメリカの影響力がたちまち逆転して敬意が払われるようになりました。
今のアメリカは過去になかった程馬鹿にされ辱められるようになった結果、考えられないような悪い条件で条約を結ばされております。(イランとの条約を指す)ですから、今トランプが大統領になる可能性があることで世界に騒がれていることを聞いて私はとても励まされています。」
ところで最近そのジョイナー師が、他の五人程の友人と共に、トランプ氏をトランプ・タワーの事務所に訪ねました。トランプ候補はジョイナー師等を暖かく迎え彼らと懇談しました。又、彼の事務所のスタッフからも全員とてもよい印象を受けたとジョイナー師はフェイスブックに書いています。そして、これからも連絡を取り合うことを相互に約束して帰って来たそうです。何を話したのかは書いてありませんでしたが、ジョイナー師があるいは主からのメッセージを伝えた可能性もありますし、それでなくてもトランプ氏はジョイナー師が誰よりも彼をフェイスブック等でサポートしてくれていることを知って感謝の意を表したことは充分に考えられます。下手に莫大な資金をテレビ宣伝に費やすよりも、ジョイナー師は無料で全米の心あるクリスチャンに宣伝してくれているのですからこんな有り難い話しはないと思います。
尚、本日トランプ候補は過半数1237名の投票を獲得したことで、彼が七月の党大会で共和党の指名候補に任命されることはほぼ確実となりました。しかしながら、彼を共和党最終候補として全員が一致賛同するに至っておらず、彼への批判勢力も保守派の人たちの間に根強く残っていますから予断は許しません。アメリカの二大政党による共和国制度が一旦は破壊される可能性もあると思います。
一つ言えることは、トランプ氏は彼の人格に問題があることに間違いはありませんが、私は彼は見掛けより純粋に国を愛する信念と決意をもって行動する、主が主の目的のために用いる可能性を秘めたクリスチャンであると信じます。もし彼はクリスチャンではないと信じる人に申し上げたいことは、たとえクリスチャンにふさわしくない人であっても、主はイスラエルを救うためにペルシャ王クロスを用いたり、主の栄光を表すためにバビロンの王ネブカドネザルを起用したことがあることを忘れてはならないと思います。つまり、今に至った最悪の状態に落ち込んだアメリカを立て直すには一時的にでも神がトランプ氏を用いることは十分あり得るとジョイナー師は考えており、私もトランプ氏が選ばれることに初めから平安があります。どうぞお祈り下さい。(終り)
02 05月
アメリカの大統領選挙の中間報告 ー
トランプ旋風は何を意味するのか
坂 達 也
今回は現在進行中のアメリカの大統領選挙についてご報告させていただきます。多くのアメリカの政治評論家が、今年のような選挙戦は「見たことがない」「歴史に残る」と言い、その混沌とした成り行きがもたらす緊迫感は尋常のものではありません。その理由は、今回の選挙戦ほどアメリカ市民の不満と怒りが党派を超えて爆発したことは最近ではなかったことであるからです。
その市民の不満の矛先は、いわゆる establishment 「既存組織」と称する国の政党・政府に対してであり、これを俗に「 ワシントン」と呼びます。同時に、その政治体制を裏で支える国の経済金融組織がこれに付属し、これを「ウオール街」と呼んで、この二つの言葉で象徴される国全体の「金権政治支配体制」に対して市民の怒りが燃え上がったのです。そしてその結果、今では二大政党そのものが根底から揺り動かされています。これに火を付けたのが共和党から立候補したドナルド・トランプ氏であり、又、社会主義思想を掲げてクリントン候補に肉薄し脅かした民主党のサンダース上院議員です。
今年の選挙の最大の特徴は何でしょうか。それは何と言っても、政治には素人であり(それがよいところですが)不動産を中心に巨万の富を築き上げ、商売人として交渉毎には海千山千の経験を持つ実力者で毒舌家のドナルド・トランプ氏という全く異色の人物が登場したことです。そして、この人に煽られた形で、眠っていた子どもが起こされたかのように、一般市民が一斉に呼応して立ち上がりました。しかも立ち上がったのは賛成する人たちだけでなく、彼を憎む人たちも立ち上がって激しく反対しています。
ご存知のように、4年に一度全州を挙げて鳴り物入りで行われるアメリカの大統領選挙は、世界で類がない程の多大な時間とエネルギーを掛け、膨大な資金が投入されますが、それだけにこの大統領選挙を見ているだけで、この国の状態がよく分かります。
トランプ氏が立候補している共和党は、概して保守主義の立場をとり、より強くキリスト教の立場に立つ政党です。一方の民主党にも少なからずクリスチャンはいますが、全般的にはリベラルな立場に立つ政党であると色分けされています。そんな両党の争いの中で、トランプ候補はどちらの党にもかなり彼を嫌う人と、好む人がいて、特に民主党からは党を鞍替えしてまでトランプ候補に投票する人が相当数出て来ました。この現象は今回の選挙での大きな特徴の一つで、最近ではあまり例を見ない異例な事態へと発展しつつあります。
特に彼が立候補した共和党内には、彼のクリスチャンらしくない下品な言動と、共和党らしからぬ中立的な考えを堂々と述べていること、それに本選挙でトランプ氏は民主党候補のクリントン氏には勝ち目がないという全国世論調査の数字が出ていることから、特に共和党幹部の人たちは絶対にトランプ候補を退けようとしています。そして予備選と党大会を通じて、クリスチャンとしての評判が高く、保守的憲法論者である正統的共和党の優等生テッド・クルーズ氏(世論調査では彼の方がクリントン氏に勝てる予想が出ています)が何としてもトランプ候補に勝つこと、あるいは最悪の場合、全く今はまだ立候補していない人を党が立てる準備を目下画策中です。実際に両党共、その選挙制度の複雑な党規約を持ち、もし予備選を通じて党代議員全体の投票数が過半数に達しなければ、党自体の考えで別な人を党の最終候補に仕立てることも可能にする党特有の制度があるようです。(その制度は州によって違い、あまりにも複雑でほとんどの人が理解出来ていません。)しかし、トランプ候補は自分は絶対にクリントン候補に勝てると断言し、もし党大会で自分が誰よりも多い代議員数を獲得しているにもかかわらず(過半数1237票に達しない場合)他の人を党が立てたら、民衆が暴動を起こすと言い、実際には、本日現在過半数に達する可能性がかなり高くなっています。
ここで、民主党の状況に触れたいと思います。民主党では過去8年間二期目の務めを終わろうとしている現職オバマ大統領への民衆の不満がかなり高まっていることが明らかです。その大きな理由の一つは、このところアメリカは貧富の差が益々激しくなり、特に中間層で数字的には失業者数は減っていても、自分の能力に合った仕事に就職出来ていないことを加味すれば実質失業率は30%近くになると言われ、国民の収入が減り生活は苦しくなっていることが挙げられます。次に大きな問題は、彼自身は表向きクリスチャンと言いながらも明らかにアラブに対する特別に親しい思いを持っていることが誰の目にも明らかであることです。特にイスラエルに冷たく、実際に彼は過激派イスラムを敵であると名指して呼ぶことを決してしません。その他、メキシコ国境はないに等しく、旅券のない人たちがどんどん入って来るのを許していること、又、彼には自国アメリカよりも他国の立場を思いやる気持ちが強く、海外で人気がある程に自国では人気がありません。そのオバマ政権で国務長官を務めたクリントン氏は、夫が大統領であったときからファースト・レデイーとして知られ、今回は二度目の大統領候補出馬であり、恐らく世界で最も知名度の高い大統領候補です。しかし政策的には悪名高いオバマ・ケアーを始め、外交政策においても、いい意味でも悪い意味でも彼女は第三次オバマ大統領と言われるように、オバマ氏の延長線にいる人で代り映えはしません。その彼女は今二つの大きな問題を抱えています。その一つ目は、彼女が国務長官時代に、公のEメール・サーバーを使うべきところを、個人のものを多く公用に使っていたことから、国の最重要機密情報が漏れている可能性が高いという嫌疑がかけられ、目下 FBI の取調も大詰めに来ていて、彼女が早ければ予備選中に告訴される可能性が十分にあることです。もう一つは彼女は夫が大統領退役後、二人で恊働して海外の国々を廻ったり、国内ではウオール街関係の大会社投資家グループに密着し、個人的に莫大な収入を得て来たことです。それは彼らがかけ離れて高額な講演料を取っていることが問題にされ、ウオール街関係から相当な選挙資金が集まっていることから、一頃の日本の政治家のように収賄まがいの政治献金がささやかれて来て、講演テープを公にする要求が最近取り沙汰されています。そんな関係でクリントン氏の人気はもう一つと言うところですが、彼女をここまで支えて来た人気は、知名度と主に女性からのもの、そして州によっては人種的な黒人、メキシコ人からの票が集まると言われます。中でも大きいのは、彼女はアメリカの女性票の七割は握っていると言われ、特にトランプ候補が女性に人気がないことから、トランプはクリントンには勝てないといわれるゆえんもそこから来ているようです。又、今は唯一の競争相手のサンダーズ候補が、社会主義者として、大学の授業料を国が払う等の政策を掲げて30歳前の若者の世代に大きな人気を博していますが、そのサンダース氏は、かなりの時期、人気投票でクリントン氏と並ぶ勢いであったのも、彼女の人気の無さの現れです。
そこで今回トランプ候補に人気が集まる理由をもう一つ申し上げれば、彼がアメリカを愛する強い愛国心を持っていることです。リック・ジョイナー師は最近主から、これからは愛国心を持つことは大切なことであるといわれたそうです。トランプ氏は民衆に対して海外に流失し奪われた多大な職とドル資本を取り返すことを約束しています。それと共に、オバマ大統領時代に軍関係の予算が削られたことによって、現在のアメリカの軍備力は技術的にも軍人数においても、10年前に比べてかなり劣っていることです。それをロシヤと中国が知らない訳はなく、最近アメリカは世界から侮られ、軽視されていることが明らかな事件が相次いでバルチック海とか南シナ海の人口島で起こっています。ロシヤと中国が北朝鮮、イランとも連絡を取っていることは明らかです。又、過激派イスラム、 ISIS のアメリカ国内侵入も現実に大きな脅威となっていることを、トランプ氏は何としても防ぐ用意をすることを約束しています。
それを言えば、アメリカは既に経済的にも今や世界の同盟国への防衛協力の義務を履行するに充分な力もなくなりつつあるという厳粛な事実を私個人も認め、日本の皆様にお伝えしたいと思います。本当に戦争への危険信号の警鐘が既に高らかに鳴っているのです。
最後に私個人は、今のような危機を切り抜け、非常事態にあるアメリカを回復させるためには、多少ラフでくせがあっても、愛国心と情熱を持つトランプ氏のような豊かなアメリカン・ドリームの成功者としての経験に併せて、倒産からの立て直しにも苦労した多様な経験を持ち、ビジネスで鍛え抜いた交渉の知恵とガッツを持つ人間が必要であると信じます。政治家の多くは弁護士とかアカデミックな出身者が多く、タフな相手と難しい交渉をするような経験を持ち合わせない人がほとんどです。その点私はトランプ氏に期待したいと思います。以上のことをお伝えした上で、以下で先日トランプ候補が演説した、彼の「外交政策施政方針」の概要を参考迄にご報告します。
トランプ氏の外交政策施政方針の発表(4月27日)
私の外交政策の基本は、アメリカ国民とその安全を守ることが、常に他のすべてのことに優先する「アメリカ第一主義」にあることを先ず強調します。
過去を振り返れば、1940年代にアメリカはナチと日本帝国主義の侵略を食い止めることに成功し世界を救いました。そして次に全体主義とコミュニズムを抑えました。長期のコールド・ワーを通りましたが、この間私たち共和党と民主党が協調し、我が国の偉大なレーガン大統領によってゴルバチョフ氏をしてその隔ての「壁」を崩しました。しかし残念ながらその後のアメリカの外交政策は、全く賢明さを欠く愚かさと傲慢により、イラク戦争という大きな間違いを起こし、その間違いはエジプトからリビヤに、そして今ではシリヤへと移り、惨事に惨事を重ねる結果となりました。これらの間違いはその地域を混沌に陥し入れただけでなく、その結果がISISが生まれ育つ隙間を与えてしまったのです。この間多くの人が殺され何十万というアメリカ人が命を落とし、何兆ドルという莫大なお金の無駄使いを生む結果となりました。又この間、イランが抜け駆けの莫大な利を得るという、我が国の外交政策は完全な無策失策としか言えません。
私は本日、現状のアメリカが持つ五つの最も大きな「脆弱さ」を指摘します。第一は、我々の財政は完全に過剰に使い込まれている事実です。オバマ大統領は予算の無駄な使い方と過大な借金を抱え込んだ末、アメリカ経済を弱めた報いとして軍備が弱体化しています。それにもかかわらず経済成長は低く、膨大な貿易赤字と、それに二つの国境線が無防備状態に放置されています。そしてアメリカの工業製品貿易負債は今や年間で1兆ドルに達しつつあります。
アメリカは自国を犠牲にしながら多くの他国の再建をしています。結果としてアメリカ人の職が奪われ、軍備を強化再建する予算を失い、それが国の財政独立(借金からの解放)と国力回復を妨げているー私は大統領に立候補している人々の中で唯一、それがどれ程重大な問題であるかを理解している人間です。信じて下さい。私はその重要さを知っているだけでなく、それを是正出来る唯一の候補者であることを。(拍手)
第二に、私たちの同盟国 allies は、私たちに掛かっている防衛費用と政治的協力、並びに人的費用を含む全体に対して、それぞれが分担すべき費用を支払っていないことです。彼らはアメリカは弱い、払わなくても赦してくれる、そして分担する義務はないと見ているようです。NATO の例をとれば、28のメンバー国のうちアメリカを除く僅か4カ国だけが GDP の2%を防衛費として負担する約束を守っているだけです。私たちは何兆ドルも使ってヨーロッパだけでなくアジアの国々を守っております。それらの国々はその費用の正当な額を分担してもらわねばなりません。さもなければ、アメリカはそれらの国が自分自身で自国を防衛する体制作りの準備をしなければなりません。私たちはそれ以外の選択肢はありません。(拍手)トランプ政権は世界の自由諸国を適正に防衛するための軍隊を持ち、それに資金協力し指導することにやぶさかではありません。
第三に、私たちの友好国は我々には最早頼れないと考え始めています。なぜなら、私たちの国は友人をないがしろにし、むしろ敵に頭を下げるという、今迄我が国の歴史上見たことのないような一人の大統領が存在して来たからです。彼はアメリカが多大な損傷を負う契約をイランと結び、相手がサインしたそのインクが乾く間もないうちにその条約条件を無視するのを私たちは見せられました。条約を結ぶ相手に、こちらは条約をどうしても結びたいという弱腰であることを見透かされてよい契約を結べる訳がありません。同時に、交渉相手には私たちが契約した以上それを絶対に守り守らせる強い意志があることを知らせる必要があります。契約を相互が忠実に守る世の中であってこそ世界はよくなります。イランには絶対に核兵器を持たせられません。(拍手)トランプ内閣の下ではそうなることを絶対に許しません。
イスラエルー私たちの偉大な友人であり、中東において唯一真のデモクラシー国家であるイスラエルの国は、確かなモラルを欠くアメリカ内閣によって幾度も肘鉄を食わされ、冷たくあしらわれて来ました。現に数日前にバイデン・アメリカ副大統領はイスラエルを厳しく批判しました。オバマ大統領はイスラエルに友好的ではありません。その一方彼はイランには優しい愛で接し、その国を短い間に偉大な国にしたのです。私たちアメリカは我々の最も古い友人国に喧嘩を売る行為をし、彼らはアメリカ以外の国に助けを求め始めているのです。このことを憶えておいてください。
オバマ大統領の屈辱的行為には枚挙にいとまがありません。彼は何のすべもないかのように北朝鮮の核兵器の脅しに手をこまねいて見ているだけです。中国は北朝鮮に対しててこを使っての圧力を掛けることができるはずです。私たちの大統領は中国の、特にアメリカ人の富と職を奪うという経済的攻撃の継続を許していますが、アメリカは中国に対して経済的な圧力をかけることは出来るはずですが、オバマ大統領はそれをしようとはしません。彼は中国がサイバーアタックによってアメリカとその会社からスパイ行為でテクニカル情報を盗むことを許しています。
アメリカは人道主義国家ではありますが、オバマークリントンが求める遺産 legacy は弱いもの、混乱、無秩序、めちゃくちゃ状態をもたらすでしょう。私たちは中東情勢を今迄にない程不安定で混沌とした状態に導き、クリスチャンを激しい迫害にさらし、計画的絶滅に追いやりました。(拍手)私たちはクリスチャンを助ける何の手も打ってないのです。その実行力のなさを恥ずべきです。私たちがしたイラク、リビヤ、シリヤでの行動が ISIS を解き放ち、過激派イスラムに対して私たちは戦争状態にあるにもかかわらず、オバマ大統領はその敵の名前を口にしないのです。もしあなたがあなたの敵の名前をはっきり言わない(敵と思わない)なら、その問題を解決することは出来ないでしょう。(拍手)ヒラリークリントンも過激派イスラム radical Islam という言葉を使うことを拒否しています。クリントン長官がリビヤでの干渉に失敗した後に、ベンガジーにいた過激派イスラムのテロリストたちはそこにあったアメリカ大使館を襲撃し、大使と三人の勇敢なアメリカ人を殺したのでした。その様な一大危機に面したとき、クリントン長官は家に帰って寝てしまったのです。そしてアメリカの大使は殺され、彼女はアメリカの国としての指示を誤ったのです。その時午前三時に緊急電話が入ったのですが彼女は寝ていたのです。そして今 ISIS はリビヤを占領し、リビヤの油田からオイルを売って週に何百万ドルの収益を上げています。それをアメリカは阻止もせず、爆撃も何もしなかったのです。このような大きな間違いは私が大統領になればすべて変わります。私たちの友好国、同盟国の皆さんに言います。アメリカは再び強く、頼りになる国になります。
私たちは自国を豊かにすることを止め、替わりに世界の安定回復に集中して来ました。しかし今回今こそ民主党、共和党の両政党に加え、私たちに近しい同盟国の知恵をすべて集めて、最も思慮ある新しい外交政策を必要としています。 (拍手)
そのためには第一に、過激派イスラムの広がりを阻止する長期的なプランが必要です。これがアメリカ合衆国並びに世界における今最も大きな外交政策でなければなりません。そのためにはイスラム世界での私たちの同盟国とも密接に協力し合って戦って行かねばならず、それは一方通行の関係であってはなりません。そして過激派イスラムとの戦いはアメリカの本土内でも厳しく行われねばなりません。最近の発見された移民としてアメリカに紛れ込んだテロリストの一団だけでなく、これからも多くのテロリストを摘発するために意味をなす移民法が実施されねばなりません。
第二に、私たちは軍備と国の経済の再建に迫られております。ロシヤと中国は軍事力の拡張を急速に行っておりますが、彼らの威圧に対抗するための究極の武器である私たちの核兵器の内容は旧式で、軍備全体の性能の近代化と増備に迫られています。我々の実戦準備状態にある兵役数は1991年には2百万であったものが、今は130万です。海軍が保有する戦艦数は同時期に500船から272船に減らされ、空軍は約1/3縮小されています。その上、オバマ大統領は2017年の軍備予算を2011年のものと比べて実質25%縮小したものを提案しています。
私たちは今、何をさておいても弱体化したアメリカ自身を元の豊かで偉大な国に戻すことに最善の努力を傾けねばなりません。それが世界の友好国のためにもなるからです。(終り)
05 03月
リバイバルが近づきつつある
坂 達 也
今アメリカは、大統領選挙のシーズンに入っていますが、その前途には政治的、経済的、又社会的に混乱と暗闇がたれこめつつあるように見えます。しかし、その暗闇と混乱が来ることによって、リバイバルの機が熟しつつあるのかもしれません。
今朝、私は示されて最も短いマルコ伝を通読しました。そこから私は主イエスが御国の「大統領」となるべく現れて、どのように「御国造り」のためのキャンペーンを張られたかを学ぶことができました。
それは丁度、この世で私たちクリスチャンと教会が、これから主が起こされる御国のリバイバルをどのように受けて立つかを学ぶことが出来ると思いますので、そのことをお分ちさせていただきます。
御国をこの地に建て上げるリバイバルが来る=そのためにマルコ伝から学ぶ
1。主は先ず、ご自身がバプテズマを受け、天からの御声と聖霊を受けられました。これは私たちにとっても「主に用いられる」人になるための必須条件です。それから直ぐ主は荒野に出てサタンの誘惑を受けられました。これで御国のキャンペーンに入る準備が完了しました。
2。そして直ぐに地方へキャンペーン旅行に出られたのですが、その途上、これはと言う人材をを拾いながら、会堂で「御国とは何か」その政策を力説し始めました。それに伴って「悪霊追い出し」と「癒しの業」という「御国のビジネス」をどんどん実行して見せ、こちらから集める努力をしなくても、勝手に人が集まって来て黒山のような人だかりが出来ました。これが私たち教会がリバイバルを起こすノーハウではないでしょうか。
主は御国建設に必要な人選と組閣を直ぐに始められ、12人のコアとなる人選と教育を始められたのです。ポイントは「主が用いることが出来る人材」を主は選び、その人たちを特訓されたことです。
3。主のキャンペーンの特徴は、もの凄くエネルギッシュに行脚し、安息日迄働いたことです。マルコ2:27、28で主は「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではない。それだから、人の子は、安息日にもまた主なのである」と云われました。それはヘブル4:10、11の「神の安息にはいった者ならば、神がご自分のわざを終えて休まれたように、自分のわざを終えて休んだはずです。ですから、私たちは、この安息にはいるよう力を尽くして務め、あの不従順の例にならって落後する者が、ひとりもいないように・・・」と警告された通りです。すなわち主の安息日に私たちは自分の業を休んで主と共に主の業だけをして働くのです。その意味で私たちは主の安息日の働き人です。
そのためにマルコ4:22−24で主は「隠れているのは、必ず現れるためであり、おおい隠されているのは、明らかにされるためです。」とも言われました。
今主は世界中で、あらゆる人の隠れている本性とか、よい所、悪い所をすべてあばいて人と本人自身に見せておられます。皆さんも経験されておりませんか。
特にクリスチャンづらしている「宗教的な人たち」の化けの皮が剥がされています。(それがアメリカの大統領選でも如実に顕われていておかしい程です。)今主は急いでおられます。それはリバイバルが来るための準備段階に入ったからであると私は信じます。
そして主は「聞く耳のある者は聞きなさい。・・・聞いていることによく注意しなさい。」といわれました。誠にこれこそがポイントですね。
4。主はあまりにも忙しく働き、又、主の「実のある話し」を聞くために「荒野に」集合した人たちは食べる暇もない程でした。そこで主は何千人分もの食事を配給する奇跡を行い、又説く。すると又集まる。そして又奇跡を・・・
5。マルコ9:23−24「信じる者にはどんなことでもできるのです。」と主は言い、その後主は多忙で空腹をおぼえたとき、季節外れで実がなってないイチジクの木を見て実のなさを呪われ、翌朝見るとその木は根まで枯れていました。その後主は「神を信じなさい。・・・あなたがたがこの山に向かって『動いて、海に入れ。』と言って、心の中で疑わず、ただ、自分の言ったとおりになると信じるなら、その通りになります。」と言われたのです。(11:13−24)
これだけの信仰があってはじめて主が起こされるリバイバルに私たちは用いられるのです。そのために今主は厳しい信仰の訓練をされておられます。今が時です。目をさましてください。
6。最後にマルコ16:15−19です。「それからイエスは彼らにこう言われた。『全世界に出て行き、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい。 信じて、バプテスマを受ける者は、救われます。しかし、信じない者は罪に定められます。信じる人々には、次のようなこのようなしるしが伴います。すなわち、わたしの名によって悪霊を追い出し、新しいことばを語り、蛇をもつかみ、たとい毒を飲んでも決して害を受ず、また、病人に手をおけば、病人はいやされます。』主イエスは、彼らにこう話されて後、天にあげられて、神の右の座に着かれた。』」そしてその主が間もなく帰って来られます。
今はそのシーズンに入ろうとしています。それは「信じる者にはどんなことでもできる」シーズンです。 (終り)
20 01月
創造者の神とは(仮題)
坂 達 也
先週書きました通り、私は今「創造者の神」に関する本を書いておりますが、それをマルコーシュ出版のご好意でハーザー誌に少なくとも最初の部分を今年の1月号から連載させていただいております。ついては私が何を書こうとしているのかを皆様に知っていただくために、今回ハーザー誌とは少し違う元々の原稿の一部を下記の通りご紹介させていただきますのでご高覧ください。この原稿は元々ノン・クリスチャン向けに書き始めたのですが、クリスチャンの皆様にこそ知っていただきたい、それによって信仰の励ましとなると信じます。ぜひこの本の完成のためにお祈り下されば幸いです。
序章 宇宙の存在と人間
人間の科学がこの三-四百年の間にめざましく発展して来たことを否定する人はいません。しかしその発展の意味するところを冷静に考えてみたいと思います。
第一に言えることは、人間の科学研究と称するものの大半は、元々既に存在していた宇宙天体とか、特に地球とそこに生息する動植物がどのように造られているかを先ず理解することに費やされて来たという事実です。しかもこれだけ長時間を掛けた研究調査の結果がどうかと言えば、人間の科学では未だに不明でよく分からない部分がまだまだ多いと言う事実です。
その一例として先ず生物学の分野を覗いてみましょう。植物は、元々人間がいるいないに関係なく、小さな種が地に落ちて、条件さえよければ勝手に芽を出し、成長して行きます。一方動物も、それぞれに特有の生殖機能によって新しい命が生まれ、自分で皆食物を探して食べながら勝手に育って行きます。又人間を例にとれば、我々が寝ていようと起きていようと、意識しようとしまいと、勝手に息をし、勝手に新陳代謝をしながら、生きています。このような事実はどう考えても「奇跡」としか言いようが無いほど実に巧妙に出来ていると思いませんか。なぜなら、人間の科学では、未だに一番下等動物のアメーバすら造れないのですから。
次に宇宙物理学の部門を取り上げてみます。数年前に、村山斉と言う第一線で活躍されている物理学者が書かれた「宇宙は何でできているのか」と言う著書を読んで驚いたのですが、この宇宙を構成する物質の96%は原子以外のものから出来ていて、未だそれが何で出来ているのか、その正体が不明なのだそうです。但しその正体不明の「もの」に名前だけは付けられていて、「暗黒物質」と呼ばれるものが全体の23%、それに「暗黒エネルギー」と命名されているものが73%あるそうです。(村山斉著「宇宙は何でできているのか―素粒子物理学で解く宇宙の謎―」ページ44-45)
つまり、この「暗黒何がし」が何であるかは分からなくても、それが「ある」ことだけは分かっているそうです。これが最先端を行く宇宙物理学の現状であるようです。昔、寺田寅彦と言う人が「物理学は、結局世界中にどれだけ分からない事があるかを学ぶ学問である」と言い残したそうですが、よく言えていると思いませんか。
それはともかくとして、私たちの住む宇宙はマクロ的に見れば、想像を絶する程大きいのに、それがミクロ的に見れば、測定不可能な程極小な粒子が無限に集まって構成されていると言うのです。数字で言えば、マクロの世界は、宇宙の大きさが現在観測出来る範囲で10の27乗メートル(1兆X1兆X1千メートル)です。その世界が無限に小さい10のマイナス35乗の極小の色々な種類の粒(素粒子)が組み合わさって出来ていると言われます。私はこのような微に入り、細に入る精密なミクロの世界の仕組みを知れば知る程、そこに高度な知性とデザイン性を認めずにはおられません。しかもそのミクロの世界を構成するすべての素粒子には「意識」があり、「意志」を持つと言うのですから驚嘆せずにはおられないのです。
これだけでも分かれば人間の科学は、確かに大変な進歩を遂げているように見えます。しかし一方で、この宇宙全体が元々人間の意志と無関係に存在し活動していることに気が付かされます。それでいて実に不思議なのは、ほとんどの人はそれを当たり前のこととして、我がもの顔で生きているという事実です。この「当たり前のように生きている」こと自体が、少々おかしな話ではないでしょうか。
人間が自分で造った生き物は一つもなく、本来自分のものと言へるものは、自分自身も含めて何一つ無いのです。とどのつまり、私たちはこの地球という、本来は誰か他人が所有する土地に、どうも勝手に住んでいるのではないかーそれを突き詰めれば、この宇宙全体は一体誰のものなのが問題になって来ます。さらに厳密に言えば、我々人間は地球の上に、たまたま「存在させられ」、誰かの意志で「生かされている」のかもしれないのです。
又、物理学的な見地からこの宇宙を見回してみましょう。私たちの住む大自然はとてつもなく膨大で、しかも微の世界の細部まで実に精巧・精密に出来ているだけでなく、それらが曲がりなりにも調和と秩序を持って共存・生存しているのです。そうであるなら、この宇宙の全存在が「誰かの意志で造られ、生かされている」ものであることを認めないとしたら、一体人間は科学者と言えるのでしょうか ― 正直にぶちまけた話、それが私の昔からの疑問でした。
しかし、誤解しないで下さい。私は宇宙がどうして始まり、どうして出来たかを扱う物理学に昔から興味を持って来て、そのような分野で貢献して来た物理学者には今でも大いに敬意を払っている積もりです。何故なら、後述する量子論のように難解極まりない理論であっても、この「分けの分からない理屈」のお陰で、現代のコンピューターを始めとする多くの最新電子機器が生み出され、世の中がもの凄く便利になったからです。
就いては、先程、宇宙には未だ正体不明なものが「暗黒物質」を含んで96%もあると書きましたが、誤解がないように、村山博士の次のようなコメントをご覧いただきたいと思います。
氏は「『宇宙にはまだまだ謎がたくさんある』ということを知っておいてください。20世紀の終わりから21世紀の初めにかけて、これだけ『わからないことがある』とわかったこと自体が、現代物理学の成果であり、大きな前進なのです。」と書いておられます。
宇宙は人間が存在出来るようにつくられているー人間原理
村山博士は、氏の著書『宇宙はなぜこんなにうまくできているか』で「宇宙は人間が存在できるようにつくられている」(175頁)と言われます。
「様々な物理法則をあらためて見直すと、宇宙に人間が生まれるための条件が揃いすぎているように感じるのです。単純な話、たとえば重力の強さがちょっと違うだけで、太陽と地球の距離は今とは異なるでしょう。太陽にちょっと近ければ水は水蒸気になり、ちょっと遠ければ凍ってしまいますから、そこには生命体は生まれません。・・・それ以外にも、定数をちょっと変えるだけで星も生命も生まれなくなる現象は少なくありません。電磁気力や強い力がほんの少し弱かったり強かったりするだけで、この世はまったく違う様相を呈するのです。しかし現実には、どの法則も星や人間が生まれるのに「ちょうどよく」出来ています。・・・これはやはり不思議なことでしょう。どう考えても人間が誕生しない可能性のほうが高いのに、私たちはこうして存在している。偶然にしてはできすぎです。・・・「ではなぜ人間が存在するようにつくられたのか?」という疑問が出てきて当然でしょう。それを説明しようと思ったら、神様を持ち出すのがいちばん手っ取り早くなってしまいます。人知を超えた超越的な存在が、人間をこしらえるためにちょうどよく宇宙の法則を定めたのだーというわけです。そういう考え方も十分あり得ますが、これには科学者の出番はありません。」
これは大変重要なコメントをされていると私は信じます。なぜなら、私がこの本を書いた最大の理由が、ヤーウエーなる神 God が真の創造者であることを私は聖書を引用し、それが物理学者を中心とした科学者の皆さんによっていつか裏付けしていただけると信じるからです。事実、現代の量子力学がもうその域に近づきつつあると私は確信します。と言うより創造者の神自身が人間に、特に多くの分野におられる科学者の皆さんに今、知識として明らかにされるように思います。
又、参考文献の一つとして、イギリスの天文物理学者 John Gribbin による「宇宙で唯一 Alone in the Universe 」をお薦めします。著者は、その序文で「それが神の手によるものかどうかは別にして、地球に住む私たちだけが、この宇宙で最も技術的に進んだ文明を持ち、宇宙の発祥とその特質を理解する上での唯一の証人であることを意味しています。・・・銀河系にある何千億個の星の中で、唯一地球だけが、高い知能の文明の保持者であり、その意味で地球は特別の惑星である理由を私はこの本で述べたいと思います。」と書いています。
確かにこれだけ観測技術が発達した現在でも、未だに地球のように高等生物が棲息していると思われる他の星は見つかっていません。
聖書には、この宇宙を創造したのはすべて人間のためであり、人間は将来神の住む高次元の「霊の領域」で、永遠に神の子として、神と共に住むことが最終目標であると書かれており、それについて詳しくお伝えするのが本書の目的です。
進化論について
世の中には科学的マインドを持ち、頭が切れ、ものを深く考えることの出来る人たちが大勢います。それにもかかわらず、なぜ総ての生き物は原生動物のアメーバの様なものから何億年もかかって今の生き物に進化したと言う「創造者抜きの進化論」を信じている人が多いのでしょうか。
ダーウイン以降発展して来た「進化論」を、私は科学的考察でないと言っているのではありません。何故なら「創造者はいない」「元々創造されたものはない」と言うことを、結論ではなく、あくまでも前提として「進化論」が出発して来たように私は思うからです。その前提で「創造者の神がいない」ことを懸命に論証しようとしている点、それは立派な「科学的態度」であることを私は認めたいと思います。同じことが物理学者にも言えます。多くの優秀な宇宙とか素粒子を専攻されている物理学者が「創造者抜きで」元々何もないところから自然発生的に宇宙が出来、人間が生まれた可能性を真摯に研究され続けておられることに私は頭が下がりますし、心から敬意を表します。
ところで進化論の定義そのものも「進化」していることに私は気が付きました。ダーウインの「種の起源」が発評されてから既に150年以上経ちますが、フリー百科事典ウィキペディアによれば、「現代的な進化論は単一の理論ではない。それは適応、種分化、遺伝的浮動など進化の様々な現象を説明し予測する多くの理論の総称である。生物で言う進化には、進歩する、前進する、より良くなるなどの意味はない。」と書かれていることにご留意下さい。もっともこの「ウィキペディア」の定義そのものもどんどん変わって来ていることにも私は気が付きました。
もう一つだけ申し上げれば、科学には全くの素人ですが、私は昔から 一つの疑問を持って来ました。それは「自然の成り行きだけでは、無秩序(カオス)から秩序は決して生まれない。」と言う真理(エントロピーの法則)と進化論が相容れないのではないかと言う疑問です。
この宇宙には「知性」と「デザイン性」がある
私は、この宇宙の全ての存在と構成に「知性」と「デザイン性」を認めざるを得ません。そうであれば正直なところ、知性は知性を持つ者が存在することを示し、デザインはデザイナーによって考案されていると素直に思いたいのです。
この話は三十年も前にアーサー・カスタンス氏の本で読んだものですが、氏は、この美しい大自然の中で、生き物が元来どれほどうまく共存しているかに注目しています。
彼はその一つとして、ワニとワニチドリと言う小さな鳥との共存友好関係を指摘しています。ワニには歯茎に寄生虫がわくそうですが、それに悩まされるようになると、ワニは陸に上がって奇妙な鳴き声を立てます。するとそれが合図なのか、ワニチドリが飛んできてワニの口の前に降り立つ。するとワニは大きな口を開き、鳥が中に入るとやさしく口を閉じる。中に閉じ込められた鳥は寄生虫とか歯の間に挟まった食物と言うご馳走を食べ、終わると口中の壁をこつこつと叩いて仕事が終わったことを知らせます。するとワニは美味しい小鳥をそのまま食べてしまいたいのを我慢して、口を開いて小鳥を出してやるそうです。これは動物同士の相互扶助、共存共栄の例であると言います。
考えてみれば、これは実に奇異なことではないでしょうか。動物たちの通常「食うか、食われるか」の世界に、このような「共存共栄」が存在すると言うこと事態に、私は誰かが意識してそれぞれ違う動物を造った「デザイン性」を見ない訳にはいかないと思うのです。
私は、長い間アメリカでも特に大自然が美しいキャスケード山脈に近いオレゴン州に住んでいました。趣味がフライ・フィッシングなので、特に魚については関心が深いのですが、極寒で魚が凍死したと言う話は聞いたことがありません。魚には水が絶対に必要です。実はご存知のようにその水が最高の冷暖房装置の役目を果たしているのです。
水は外気が氷点下以下に冷えると氷に変化します。しかし、その表面の氷の下では水温が通常摂氏4度以下には下がらないそうです。これによって水中の生き物は、外が零下何十度と言う吹きさらしの厳しい環境であってもそれから保護されます。又,夏になるとかなり暑い日でも,湖には冷たい清流が川から流れ込んで冷やします。水中の魚は温度の冷たい底の方に移動し,自分の好きな温度の深さで快適に過ごせる。どんなに暑い日でも底の方に行けば、最高12度ぐらいまでで、それ以上は暑くなりません。
これは何とすばらしい仕組みでありましょうか。生き物で水を必要としないものは一つもない。その水がどれほどうまく機能するように造られているか、本当に驚嘆せざるを得ません。上に挙げた二つの例を見ても、この大自然が誰か超人間的な思慮深さを持つ設計者の手によって造られていると思わざるを得ません。
考えてみて下さい。人間ほど「創造」すること、つまりものを発明したり、創り出すことの好きな動物は他にいません。それに、人間なら誰しも、新緑に輝く野山を歩く時、きれいに晴れ上がった夜空を眺める時、生けられた一輪の清楚な花を閑静な茶室で眺める時、それを美しいと思わない人はいないと思います。詩人とか絵描きだけではない。どんなに忙しいビジネスマンでも「美しさ」を求め、美しいものを愛さない人がいるでしょうか。自分の人生を、家庭を美しく良いものに作り上げて行こうと思わない人はいないと思います。
その意味で人間は皆、美を愛し、芸術を愛し、人の創作を尊重します。それが証拠に、人間は一枚の絵に何千万円も出したり、小説が何百万部も売れて、その本が面白いからと言って徹夜で読んだりします。そして映画・演劇に、又音楽の演奏会に熱心に通う人が大勢います。総ての動物の中で人間だけがそのような素晴らしい「芸術性」を持っていると言う事自体が、私には大変興味深いことのように思えます。
何故かと言えば、聖書が言うように、もし人間が「神と言う創造者自身に似せて造られた」神の最高の被造物(作品)であるのなら、我々人間が創造を好むことに何ら不思議はないからです。第一、創造する者でなければ、創造が何であるかすら分からないはずです。まして創造者が存在することが考えられるのも、自分が創造者の端くれであるからではないでしょうか。この事実は、宇宙を造った「創造者」が存在する有力な証拠の一つのように思えてなりません。・・・・以上です。(終り)
Page 14 of 38 « First ... « 12 13 14 15 16 » ... Last »